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伝説のドン・フライ戦1週間後のインタビューPART1【期間限定無料公開】

ノア、新日本、そして『PRIDE』。プロレスと格闘技の境界線をその長い足でリングインよろしく、ひとまたぎする男・高山善廣。どこのリングに上がっても、これぞプロレスラーと賞賛される闘いぶりを見せるその姿は、まさに全身プロレスラーだ。そんな高山のプロレスラーとしての凄みが爆発したドン・フライ戦から1週間後のインタビュー原稿を再録!
聞き手/堀江ガンツ
※『紙のプロレスRADICAL52号』(ワニマガジン社)より再録



1週間前の急なオファーを受けたのは
相手がドン・フライだっていうのが、
やっぱり大きいんですよね。




――ケガの具合はいかがですか……というか、見た目はスッカリ治ってますね(笑)。

高山 トカゲ並みの回復力でだいぶ良くなりました(笑)。

――まだ試合から1週間しか経ってないのに、ハンパじゃない蘇生力ですね。

高山 ホントはもっとボコボコな顔を期待してたんじゃないですか? 撮影する前に治っちゃって残念でしょう(笑)。

――いえいえ(笑)。それにしてもドン・フライ戦はもの凄いインパクトでした。周囲の反響も凄いんじゃないですか?

高山 そうですねぇ。土曜日の昼間に『PRIDE』の地上波放送があったじゃないですか。その放送が終わったくらいの夕方出歩いていたら、絶対プロレス見そうもない女の子が、すれ違った後に走って戻ってきて、「プロレスやってる方ですよね? テレビ見ました。頑張って下さい」なんて言ってきたんですよ。「これ絶対、さっきの放送見たんだろうな」と思いましたよね。

――格闘技を普段見ない人にも衝撃を与えましたか。やはり地上波の影響は大きいですね。

高山 大きいでしょう。スギ(杉浦貴)なんかも『PRIDE』出場が決まったはいいけど、テレビ局同士のかね合いもあって地上波で放送されるか微妙だったんですよ。それで「『PRIDE』出ても地上波に映らなかったから、キャバクラでモテねぇぞ」なんてからかってたんですけど(笑)、結局出られるようになって、「嬉しいっスね」なんて言ってましたけどね(笑)。

――高山さんはもともと今回は、その杉浦選手の練習相手として一緒に『PRIDE』の練習はしていたみたいですけど、それを差し引いても1週間前のオファーを受けたというのは、なぜだったんですか?

高山 ……なんでだろう? (笑)。

――自分でもわからない(笑)。

高山 まぁ、相手がドン・フライだっていうのが、やっぱり大きいんですよね。相手が誰でも受けるかっていうと、それは絶対違うんですよ。やっぱりドン・フライっていう、やってみたかった人にたまたま当ててもらうチャンスだったから、というのは大きいですね。

――そのやってみたい何人かの中のひとりがドン・フライだったと。

高山 何人かって言うより、何人もいないんですよ。もうシュルトとやった後は、次の焦点っていうのはぼやけていて。それがケン・シャムロックとドンの試合(2・24『PRIDE・19』)を見て、「あ、俺が闘う相手はドン・フライだ」って、人には言いませんでしたけど思ってたんですよ。

――じゃあ、「今年の後半ぐらいに、体調整えてフライとやれたらいいな」とか思ってたら、突然叶ってしまったと(笑)。

高山 ワハハハ! そうなんですよ。コールマンとフライの試合は純粋に楽しみで、「ここでドンが勝ってくれたら、ボクも体調万全にして、ドリーム・ステージに『やらせてくれ』って頼もうかな」とか考えてたんですよ。そしたら準備する間もないまま向こうから頼んで来ちゃって(笑)。

――嬉しいような困るような(笑)。

高山 でも、もしここで蹴ったら今後ドン・フライとできそうもないじゃないですか。やっぱりボクは『PRIDE』で勝ち星ないですし、結果だけ見れば二連敗だから、普通に考えたらフライに挑戦できないでしょ? だから「やって」って言われた時に喰いついていかないと、チャンスを逃すような気がしたんですよ。

――なるほど。でも負けるリスクって考えなかったんですか? 『PRIDE』なんていう舞台だと、ホント一敗というのがすごい重くのしかかるじゃないですか。

高山 そう言われるとそうですね。忘れてた(笑)。でも、ボクの中では(フライとは)相性はいい方だと思ってたんですよ。

――グレコの動きは自分にとって好都合だと言ってましたよね。

高山 そうそう。まぁ、グレコの選手が相性いいって言うんじゃなくて、順序だてるとフリースタイルよりはグレコがいいっていうだけで、ホントはグレコもやってなかった方がもっといいんだけど(笑)。

――ガハハハ! フリースタイル・レスリングは最悪だけれど、それよりはまだグレコローマンの方がいいだろうと(笑)。

高山 もっと言えば、打撃しかできなくて、しかも自分よりリーチが短い相手が一番いいんですけどね(笑)。でも、今回も金原さんと宮戸さんにセコンドお願いしたんですけど、二人とも「これはいけるかもしれないよ」って、ボクと同じ考えだったんですよ。しかもビッグネームですからね。

――これはチャンスだと。

高山 そう。ピンチであると同時にビッグチャンスでもあると。でも、観てる方はビッグピンチにしか思わないでしょ(笑)。

※次回は1月17日(金)更新